女優・加茂美穂子が振り返るコロナ禍のエンタメ業界「映画や文化が医療と同じであるように」
監督に声をかけられたおかげで救われた
──今作に出演の経緯は。
「Zoomで三島監督と面談しまして、自分の置かれた状況など自分の物語を伝えました。そうしたらビデオ日記みたいな感じで撮影してほしいと。私は夫と海辺に住んでいて毎日ゴミ拾いをしているのですが、そんな日常を自分たちで撮っていました。監督にリアルで会ったのは試写会が初めてでした(笑)」
──GWに韓国で開催された全州国際映画祭にも今作は出品され、加茂さんも登壇されたそうですね。
「やっぱりリアルは最高ですよね。お客さんと一緒に笑ったり泣いたり。ネガティブなことばかり考えがちでしたが解放されて自由になれました。役者って台本があれば生きていけるんです。逆に台本がないと何をしたらいいのかわからなくなるくらい。コロナ禍のなかで監督に声をかけられたおかげで救われましたし、映画や文化が医療と同じように誰かを救ったり抱きしめたりするものであったらいいなと願っています」
(聞き手=米田龍也/日刊ゲンダイ)
▽加茂美穂子(かも・みほこ)1976年、福岡県北九州市出身。私立明治学園高校、日本大学芸術学部演劇学科卒業。青年座研究所26期卒。2002年、青年座入団。ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。ドキュメンタリー映画「東京組曲2020」は東京ほか、順次各地で公開。