悲願の初優勝 2代目琴桜の覚醒要因...来場所は豊昇龍との「ダブル綱とり」へ
「優勝決定戦をしたり、優勝が近づいても(賜杯を)取れない苦しい場所が続きましたが、しっかりやれば賜杯を抱けるんだと実感しました」
優勝インタビューで万感の思いを込めてこう話したのが、大関琴桜(27)だ。
大関豊昇龍と1敗同士の相星決戦となった昨24日の千秋楽。相手の投げで体勢を崩す場面もあったものの、慌てず、すぐに立て直し、はたき込みで悲願の自身初優勝を手にした。
琴桜の名を冠する力士が賜杯を抱くのは、祖父の初代琴桜が1973年7月場所で優勝して以来、51年ぶりだ。
2代目琴桜は今場所が大関5場所目。大関昇進後は今年5月の11勝が最高成績だった。
親方のひとりは「素質だけなら、とっくに優勝してもおかしくなかった」と、こう続ける。
「189センチ、178キロと体格は十分。相撲もうまく、土俵際の逆転を得意とするなど器用な面もある。ただ、どこかお坊ちゃん気質なのか、何が何でも勝とうという気迫に欠けていた。ガンガン前に出て攻めれば強いのに、それを貫けない。詰めも甘く、先場所、先々場所は後半に3連敗している。それが今場所は強気の相撲が目立った。要因はやはり、大の里の大関昇進でしょう。優勝経験がない自分をあざ笑うかのように、大の里は優勝2回。その上、大関昇進で同じ立場に並ばれた。ようやく危機感を抱き、ガムシャラにやれるところまでやろう! と覚醒したのではないか」