恋リア「ラブ トランジット」がめっぽう面白い パートナー像のあり方の未来図を見る
キャストは20代でも、その群像劇は意外なほど大人の嗜好に応えるメロウな味わい。これぞ設定の妙、企画の勝利だろう。先週配信された4話、22日の2話につづき、来週29日に最終2話が配信予定。随所で流れる女性シンガーソングライターeillの感傷的な歌声に「木曜日のメロウ」がとまらない6月なのである。
ラブトラを語りつくしたい衝動に抗って、その前段を話そう。
テレビを通して、芸能人ではなく一般人同士のカップルが成立するさまを視聴者が見守る、そんな恋愛バラエティが人気を博した時代があった。70年代の『パンチ DE デート』、『ラブアタック!』。80年代の『ねるとん紅鯨団』。
いずれもキー局ではなく在阪準キー局の番組であることから察し得るように、出演者のギャラを抑えて低予算で制作できるのも作り手側には魅力的だった。90年代後半にはこの分野にフジテレビが『TOKIOのな・り・ゆ・き!!』で本格参戦、その発展形『あいのり』が一世を風靡した。
その種の番組は現在では恋愛リアリティショー、略して〈恋リア〉と呼ばれ、若者のテレビ離れと相俟って主戦場をインターネットに移し、アマプラ、アベマ(ABEMA)、ネトフリ(Netflix)が三つ巴の熾烈な争いを展開している。