悪名高い「人質司法」を訴えた角川歴彦KADOKAWA元会長の勇気
保釈後、代理人の弘中惇一郎弁護士から「これまで人質司法そのものを争う裁判はなかったけれど、戦いますか」と聞かれ、即座にやると答えた。贈収賄容疑に関しては別で争う。
そうそうたる弁護団を組織し、人質司法が憲法や国際人権法に照らしてどれほど人権を侵害しているかを問う、わが国初の国を相手取った訴訟である。根腐れしているこの国の刑事司法を根底から変える裁判になるかもしれない。
角川はこの問題を長年放置してきたメディアの責任も問う。
「人質司法は、強大な力を持つ検察が主導しながら警察・検察・拘置所・裁判所・メディアが一体となって維持されている『システム』なのだ」
人質司法の維持に一役買ってきたメディアは恥を知るがいい。(文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)