紅白初出場の泉谷しげる 毒舌もいつの間か“優等生”に
エレックレコードの社長が「こんなパンチのない曲はお蔵入りだ」と嘆いたが、当時のあらゆる層から絶大な支持を得た。
若い頃から毒舌でも有名だった。生放送で大暴れしてワイドショーが打ち切られる騒動があった。
72年、日本教育テレビ(現テレビ朝日)の高島忠夫が司会を担当する主婦向けの生番組「土曜ショー」に出演した時のことだ。皮肉たっぷりの反戦歌「戦争小唄」が放送禁止指定になっていたが、泉谷は暴走して「戦争小唄」を実演。続いて「ドテ」「ツボ」と女性器の表現もある「先天性欲情魔」(後に放送禁止に指定)をも堂々と歌い、会場を騒然とさせた。
続く生CMコーナーでも商品をコケにする。大騒ぎの会場の様子がそのまま放映された。スポンサーからの抗議はなかったが、翌月、番組は打ち切り。泉谷は当面、日本教育テレビ出演禁止、ディレクターは事実上左遷の配置転換という重大処分。
実はこの騒動、お騒がせフォーク歌手を見せ物と見下すテレビ局に対する泉谷の反撃だった。いわば確信犯なのだ。