秋山豊寛 日本人初の宇宙飛行を行ったTBS記者
科学技術庁の担当者は「こちらは実験、あちらはマスコミ。どちらが先でも私個人はおおらかにいきたい」と余裕を見せ、NASAで訓練中の向井千秋さんも「ともに頑張りましょう」とエールを送ったが、一方で科技庁幹部が「けしからん」と憤慨したという証言もあった。
■「これ、本番ですか?」
騒動の中、2人は10月にモスクワ入り、訓練を開始した。秋山氏は「ソ連の宇宙開発の最先端に身を置くことは大きい」といい、菊地さんは「一般の疑問にわかりやすく答えられる映像を撮りたい」と語った。1年余りの訓練を経て、搭乗は秋山氏に決まったが、厳しい訓練の末、体重は5キロも減っていた。
打ち上げは90年12月2日。宇宙からの第一声はジャーナリストらしく「これ、本番ですか?」という有名なセリフ。他にも発射時の衝撃を「ダンプで砂利道を走っているよう」、宇宙酔いも「脳がムクんだようだ」と分かりやすい表現で解説した。「客観的に物事を描写するテクニックはさすがジャーナリスト」という声も聞かれ、TBSの特番は高視聴率をマークした。