本当に「ファミリー」なら最後は収まるところに収まるはず
しゃべくりのプロである宮迫や亮と比べるのは酷だったにしても、吉本興業・岡本昭彦社長の記者会見は期待を大きく裏切るものだった。
あの日、残酷な世間やマスコミが期待したのは「全面的な反論」、もしくは「全面的な謝罪」と「経営陣の辞任」だったはず。ところが岡本社長は「芸人ファースト」「宮迫らへの処分の撤回」を発表し、「タレントさんにあんな会見をさせてしまったこと」を謝罪。涙まで流したものの、その後の質疑応答では要領を得ない返答が続き、世間の反感を買ってしまった。
中でも注目を集めた「おまえらテープ回してないやろな」「会見してもいいけど全員クビにする」といったパワハラ疑惑については、多くの視聴者が「やっぱり?」と思ってしまったはずだ。
興行の世界という特殊な事情は理解できる。ビートたけしが言ったように会社と芸人が「猿回しと猿」であるなら、猿回しは絶対に猿にナメられてはいけない。まして、重大な嘘をついた相手に怒りを持つのも当然だ。だが、それでもやはりお互いの信頼がなければ今の時代では明らかなパワハラである。岡本社長は本当に「なごませるつもりの冗談だった」のかもしれないが、加藤浩次が「大崎さんと岡本さんを怖がっているという状況がずっと続いてきた」と口にしたように、社内には深い溝ができていたのだろう。