女性ホルモンが減少する閉経後も乳がんを発症するのはなぜ
プロゲストロンの多い時期は、精神的不安定や腹痛、頭痛、だるい、眠気など体調が悪くなることが多い。重症化すると「月経前症候群」と呼ばれる。また、女性ホルモンは病気の抑制や発症に大きく関係する。
「女性ホルモンは妊娠・出産で不足しがちのカルシウムを補いやすくするため、カルシウムの吸収を促すビタミンDの作用を増強し、骨をつくる細胞も活性化させています。それに血管を丈夫にして、動脈硬化や血栓ができないようにする作用も備えているのです」
そのため、女性ホルモンが急激に減少する閉経後は、これらの防御作用がとれて骨粗しょう症や脳・心血管障害の発症が増えるのだ。一方で、女性ホルモンは乳がんの発症を促す。では、閉経後も乳がんの発症が多いのはどういうことなのか。
「閉経後は副腎から分泌される弱い活性の男性ホルモンが、脂肪組織内のアロマターゼという酵素によってエストロゲンに変換されるのです。肥満は閉経後、乳がんの最大リスク。閉経後の乳がん治療では、アロマターゼの働きを阻害する薬が使われています」
更年期障害のホルモン補充療法は改良が進み、今は乳がんや血栓のリスクが少ない。ただし、たばこでリスクが上がるので注意が必要だ。