血糖値の調整役 膵臓からはインスリン以外の2種類も分泌
ホルモンのことはよく知らなくても、「インスリン」の名称は聞いたことがあるだろう。膵臓(すいぞう)から分泌され、その量が減ったり、働きが弱まったりする(インスリン抵抗性)と、糖尿病を引き起こす。
発見されているホルモンの半数以上は、アミノ酸が連なった構造の「ペプチドホルモン」に分類されるが、インスリンはその代表格のひとつだ。
東京都立多摩総合医療センター内分泌代謝内科の辻野元祥部長が言う。
「ご存じのようにインスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。食物が分解されて血液中に増加したブドウ糖を全身の臓器細胞に取り込んだり、余ったブドウ糖を肝臓や脂肪細胞にグリコーゲンや脂肪としてため込んだりする働きがあり、結果として血糖値が下がるのです」
膵臓には「ランゲルハンス島」と呼ばれる部分があり、そこに集まる3種類の内分泌細胞がそれぞれ異なるホルモンを分泌する。
α細胞から出る「グルカゴン」は、血糖値が下がったときに肝臓のグリコーゲンを分解して、血糖値を上昇させる。もっとも多いβ細胞から出るのが「インスリン」。そして、この2つのホルモンの放出を抑制するのがδ(デルタ)細胞から出る「ソマトスタチン」だ。