麻酔薬が主成分の新たな抗うつ薬が登場 2~3時間で効果が
今年3月、FDA(アメリカ食品医薬品局)が30年以上ぶりに、米J&J社のうつ病治療の新薬「エスケタミン」を承認。どういう薬か?
新薬「エスケタミン」の主成分は「ケタミン(S型)」。国内で率先してうつ病治療におけるケタミンの効果を研究する千葉大学の橋本謙二教授は「従来のうつ病治療薬には見られなかった劇的な効果がケタミンにある」と指摘。
ケタミンは1970年代に麻酔薬として認可。その後、幻覚や妄想などの副作用からパーティードラッグとして乱用され、日本では2007年、麻薬及び向精神薬取締法の麻薬に指定。特定の症例にのみ使われてきた。
「一方で、米国でケタミン乱用が大きな社会問題になった時期、ケタミンに抗うつ作用があるのではないかとの指摘もあったのです。00年、米エール大学がケタミンに抗うつ作用があることを発表。同様の続報があり、注目が高まりました」
■即効性が特徴も幻覚や妄想などの副作用が
抗うつ薬としてのケタミンの特徴は即効性だ。服薬後2~3時間で効果が表れ、1週間ほど持続。従来の抗うつ薬では3割の人に効果が見られない難治性うつ病にもケタミンは効果を発揮。難治性うつ病対象の研究では、7~8割の患者に効果を示すようだ。