末期がんの男性は食事が中止になり「死が近づいた」と思った
「緩和病棟では、苦痛を出来るだけ少なくしたいと考えております。腹水がたまって苦しい時は抜きます。もし、治療を希望する場合は内科に戻ります。緩和ケア病棟は、基本的には延命のための治療はしません。もし体調が落ち着いていた場合は、自宅に帰るなり相談いたします」
内科の病棟に入院してから約1カ月後、緩和ケア病棟に移りました。
「今日から点滴は500ミリリットルに減らします。むくみもありますし、腹水がたまるのは少なくなるかもしれません」
Kさんは納得していましたが、なんとなく「移っていきなり減らすのか……」とも思いました。ただ、たしかに象のようになった足はむくんで、水疱が出来ています。
担当医に「あとどのくらい持ちますか?」と聞くと、「1カ月か、2カ月かと思います」との答えが返ってきました。
Kさんは体を動かすのが苦痛になって、ほとんどベッドの上でしか過ごせないようになりました。排尿は少なくなりましたが、腹満感は同じです。喉が渇くことが多く、いつもお茶をそばに置いてもらいました。