末期がんの男性は食事が中止になり「死が近づいた」と思った
Kさん(68歳・男性)は手術不能の胃がんで、消化器内科に入院していました。薬物治療を2次治療まで行いましたが、効果がなく断念しました。腹水がたまってきて、食事はわずかしか取れなくなり、がん性腹膜炎に進んだとのことでした。
腹水を抜くと、数日は楽な気持ちで過ごせましたが、だんだんまたお腹が張ってきます。1人暮らしで、自宅に帰っても誰もいない。特にやりたいこともなく、この病院で苦しむことなく死なせていただければ……と思っていました。
入院中の病院に緩和ケア病棟があることを知ったKさんは、そこに移ることを希望して緩和病床が空くのを待ちました。
水分は取れましたが、朝から夕方まで点滴1000ミリリットル(500ミリリットルを2本)をゆっくり行っていました。頚部の中心静脈からの点滴だったので、腕は自由に動かせます。
ある日、食事がほとんど取れていないことから、担当医に「食事はやめますが、よろしいですか? 食べられそうな時はまた出しますから」と言われ、中止になりました。死が近づいたと思いました。