緩和病棟を辞めて地方の実家に帰った医師から手紙が届いた
緩和ケア病棟のA医師宛てに友人の医師からこんな手紙が届きました。
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A先生、お元気ですか? 突然ご挨拶もせずいなくなってすみません。長い間、仕事をご一緒させていただきありがとうございました。実家がある田舎に帰っております。これまで頑張ってきたことで、自分への褒美だと勝手に思っております。田舎暮らしは中学生の時以来ですから、あれから40年もたっています。
私は病院で、たくさんのがん患者さんを看取らせていただきました。一生懸命、ずっと、患者さんの心に寄り添おうと頑張りました。人生の終末の一時期は、少しでも良かったと思っていただけるように努力しました。しかし、みなさん、人生の途中でがんになって、亡くなったのですから、満足してあの世に逝ったはずはないと思っています。そして、一人一人思い出すと、出来なかったことがたくさんありました。
いま、田んぼを相手に暮らしていますが、何かにつけ、亡くなった患者さんのことを思い出します。山道でお地蔵さんに会うと、しゃがんで手を合わせます。