著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

女子校No.1の桜蔭が男子や共学を含め“実質トップ”に立つ日…昨年は東大理Ⅲ合格者で灘抜き

公開日: 更新日:

 最初の速報から1週間ほど遅れて筑波大学付属駒場(筑駒)の数字が判明し、各校の東大合格者数が出揃った。

「筑駒だけなぜか毎年、発表が遅い。過去には2週間遅れたこともある。東大合格者数など気にしていないという同校の矜持なのか、受験マスコミにくみしたくないのか、よくわかりませんが」(サンデー毎日元編集者)

 ともかく順位を見てみると、(1)開成148人(2)筑駒87人(3)灘86人(4)麻布78人(5)聖光学院78人(6)渋谷学園幕張(渋幕)74人(7)西大和学園73人(8)桜蔭72人(8)駒場東邦72人(10)日比谷51人となっている。常連組が並んだが、開成の45人減をはじめ、多くの学校が人数を減らした。渋幕が現状維持。増やしたのは12人増の駒場東邦と14人増の麻布の2校だけだった。

 だが、麻布の元教師は「物足りない」と不満そうな顔。「2019年に100人と3ケタに乗せていたのを考えると失速気味。今後の伸びはあまり期待できない気がする」と話す。「今年は飛躍した学校が少なく、名門校も総じて低調で、分散した感じ」(大手予備校スタッフ)というのが大方の見方だ。

 最難関の理Ⅲ(一般入試定員97人)の上位は(2)灘15人(2)桜蔭11人(3)筑駒7人(4)駒場東邦5人(5)聖光学院4人(5)ラ・サール4人(7)開成3人(7)麻布3人だった。この中で最も注目を集めるのは女子校ナンバーワンの桜蔭。昨年は13人で灘(10人)を抜かし初のトップを記録した。

「理Ⅲ合格者のうち浪人は昨年も今年も1人だけ。桜蔭の1学年定員は235人。400人の開成を東大合格者数で抜くのは難しいにしても、男子や共学を含め実質トップに立つ日もそう遠くないのではないか」と予備校スタッフも舌を巻く。

 1994年以降、30年連続で東大合格者トップ10入りを果たしている桜蔭。一番人数が多かったのは96年の93人。この中には理Ⅰに合格したタレントの菊川怜も含まれている。私大最難関の慶応医学部にも合格したが、東大に進んだ。

「菊川さんの場合は元々、慶応がすべり止めだったのかもしれないが、医学部でこうしたことが頻繁に起こるのは好ましくない。今の日本は医者が不足しているのですから」と話すのは医系進学塾の経営者。

 とりわけ問題なのは理Ⅲの受験者だという。「最も偏差値が高いというだけで医学の道に進む気がないのにチャレンジする受験者が後を絶たない」と苦言を呈する。東大側もこうした傾向は問題視していて、18年から理Ⅲだけ面接を行うようになった。

「医療や医学研究に従事するつもりがあるのか判断するためです。理Ⅲを売りにしてクイズバラエティーに出演する者まで現れ、学内でも問題になっていた」(東大理系教授)

 国公立大医学部を第1志望とした受験者は昨年から13%近く増え2万人を超えた。ますます狭き門になっているが、まずは自身の適性を見極めてから進む道を決めてほしいものだ。



◆田中幾太郎の著書「名門校の真実」」(1540円)日刊現代から好評発売中!

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