「安倍国葬文書」隠蔽で国を提訴 非営利報道機関「Tansa」が“閣議決定政治”に一石
安倍政権下で繰り返された“公文書隠蔽”が岸田政権でも続いていたのか――。それも世論が賛否両論で二分し、多くの法曹関係者が「違憲」「違法」とした安倍元首相の「国葬」をめぐってである。
2年前の2022年9月27日の安倍の「国葬儀」は閣議決定により行われた。その協議過程を記した行政文書の「不存在決定の撤回」および「不開示となった文書の開示」を求め、探査報道を専門とする非営利独立の報道機関「Tansa」が9月30日、国を相手取って東京地裁に裁判を起こした。
安倍の国葬をめぐっては、同年7月14日の記者会見で岸田首相が閣議決定により実施することを発表した際、「内閣法制局ともしっかり調整した上で判断している」と発言している。ところが、「Tansa」が内閣法制局に関係文書一切の情報開示を求めると、出てきたのは「応接録」1枚ペラだけ。そこには「意見がない旨回答した」などと書いてあるだけで、岸田が言うような“調整”についての記述はなかった。
ただ、その応接録には「相談年月日」として「令和4年(22年)7月12日~14日」とある。3日間も相談しながら、文書がたった1枚なんてことがあるものか。そこで「Tansa」は、応接録に「相談者」として記されていた内閣官房と内閣府にも情報開示を求めたが、「記録を取っていない」「廃棄した」などと回答した。安倍国葬という内閣にとって重大決定なのに、記録もメモも何もないなどありえない。総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」に不服を申し立てても「不開示」。それで今回、提訴したわけだ。