境港市民図書館(鳥取県)ゲゲゲの鬼太郎や水産業…地域の特色を前面に押し出した図書館
「誰もが気軽に訪れることができる、広く開かれた、にぎわいのある場所を目指しています」
こう話すのは境港市民図書館の館長を務める嘉賀收司氏だ。
境港市は鳥取県の最西端に位置し、島根県に向かって突き出した弓ケ浜半島の先にある日本海と中海に挟まれた港町だ。
陸地面積は南北方向に約9キロ、東西方向に約3キロとコンパクトではあるものの、水産業が盛んで境漁港は日本海側で最大規模。水揚げ量日本一のベニズワイガニを筆頭に、マグロや松葉ガニ、アジ、サバ、イワシのほか四季に応じてさまざまな魚が水揚げされている。
同市は「ゲゲゲの鬼太郎」などを生み出した妖怪漫画の第一人者・水木しげる(2015年没)が育った地としても著名だ。境港駅から水木しげる記念館までの約800メートルの道を「水木しげるロード」と名付け、178体もの多種多様な妖怪ブロンズ像を設置するなど、市を挙げてプロモーションに力を入れている。
「境港市民図書館は市とのつながりを大切にしています」と、嘉賀氏が続ける。
「たとえば『水木しげるコーナー』には水木先生の作品や原画などの資料が約2000点。それとは別に『妖怪のコーナー』も設置。『海と魚のコーナー』には水産業の書物や図鑑だけではなく、魚の調理方法などのレシピ本も多く並べています。この市には航空自衛隊美保基地がある関係で、防災・自衛隊関連の書架もひとつの目玉。ふらっと訪れて書架の背表紙を眺めるだけでも、妖怪や海、自衛隊のことを知れるはずです」
水木しげるの関連グッズの収集にも余念がない。
「つい先日は特典グッズをゲットするために映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を見に行きました(笑)」(同)
境港市民交流センター(通称「みなとテラス」)に入る図書館は22年7月に開館したばかりで、居心地の良さを大切にしている。