ニセモノ疑惑が浮上した途端に「手のひら返し」は情けない 自分の価値観をしっかりと持つこと
「本当に素晴らしい絵ですね。感動しました」
ある美術館の館長が有名画家の絵の前で、こう自画自賛する。どうやら彼の未発表作品を入手したのだという。取得価格は数千万円。美術館の命運を懸けた大勝負だ。
しかし、事態は急変。この絵に「ニセモノ疑惑」が浮上した。ある分析によれば、70%の確率でニセモノだという。最近はAIが発達して、絵の具、筆遣い、クセなどが判別できるのだという。
館長はさすがにショックを隠せない。落胆を通り越して、「憤りを禁じ得ない」とまで述べた。
でも、ここでよく考えてほしい。館長はこの絵を見て、最初は感動したのではないか。ニセモノと分かった瞬間に手のひら返し。感情が反対方向へと振れてしまった。いったい何が本心なのか……。館長は本当に「いい絵」だと思ったのか。
われわれは、「ホンモノ」と言われるものや、他人の評価が高いものを称賛、欲しがる傾向にある。しかし、「本当に価値のあるもの」って何だろう。