「京アニ」放火事件は死刑判決が確定してもまだ終わりではない?
1月27日、アニメーション制作会社の「京都アニメーション」放火殺人事件において、青葉真司被告本人が控訴を取り下げ、第1審の死刑判決が確定しましたが、その後、弁護側が“控訴取り下げ”の無効の申し入れを行いました。どういうことなのか説明したいと思います。
刑事事件の判決においては、検察官または被告人・弁護人が控訴・上告をしないか、または控訴・上告を取り下げると判決は確定し、それ以上事件の審理をすることはありません。ただ、例外的に審理が再開されることもあります。
1つは、いわゆる「再審」制度です。元の判決の証拠が偽造であることが証明されるなどの理由があった場合、再審の請求をすることができます(刑事訴訟法435条)。最近では、無罪判決が確定した袴田事件がこれです。
2つ目は、控訴の取り下げの無効を争う方法です。法律上に明確な規定はありませんが、被告人本人が控訴の取り下げを行った際に、弁護人がその被告人の控訴取り下げの無効を主張するケースがあります。有名なケースとしては、2015年の「寝屋川市中1男女殺人事件」です。死刑判決を受けた被告人が控訴後に自ら控訴を取り下げたのですが、その直前に被告人にトラブルがあり、控訴を取り下げることの意味、すなわち死刑判決の確定を明確に意識していなかった可能性があるとして、弁護人が控訴取り下げの無効を主張、最終的に控訴取り下げの無効が認められました。