留置所で“取り調べ拒否Tシャツ”着たら警察に没収され…被疑者は着てはいけないの?
留置場で「私は取調べを拒否します」と書かれたTシャツを着ていた被疑者が、警察にTシャツを取り上げられたことが話題になっています。
留置場は多くの被疑者が一時的に生活する場所であるため、警察はトラブルを防ぐために服装や持ち物を管理する権限を持っています。Tシャツを回収した警察の弁解は“取り調べ拒否Tシャツ”の着用を認めると、「留置施設の規律や秩序を害するおそれがある」から回収したということのようです。
逮捕勾留されている被疑者は、捜査機関による取り調べを受忍する義務があることが最高裁で認められています。国際的な批判を受けている日本の人質司法を、正面切って認めているこの判例自体に問題があるとは思います。しかしながら、実務上は上記判例に従い、被疑者に取り調べ受忍義務を認めているわけですから、とりあえず留置場から取調室までは行かなければならないとされています。
そのため、取り調べに応じたくないと留置場にしがみつく被疑者がいる場合、留置場の職員は、判例の説明をして延々と説得しなければならなくなりますし、場合によっては、留置場から引きはがして取調室まで連れて行かなければならないこともあるでしょう。このような煩わしい連行作業を何人にもやらなければならないとなると、留置管理課の増員や装備増強などが必要になり、警察の業務に著しい支障が出る可能性もあります。そのため、“取り調べ拒否Tシャツ”は、判例上認められていない取り調べ拒否を扇動するメッセージを発していると理解されたのかもしれません。