大阪市喫煙所整備の問題点(上)万博に向けて整備した313カ所の内訳と数字のトリック
大阪の喫煙規制強化が進行中だ。1月27日から「大阪市路上喫煙の防止に関する条例」が施行され、市内全域が路上喫煙禁止となり、違反者には過料1000円が科せられることになった。また、大阪府では4月から受動喫煙防止条例の全面施行に伴い、客席面積が30平方メートル超の飲食店は原則屋内禁煙となる。いずれも4月13日に開幕する大阪・関西万博をにらんでの規制強化である。
そうしたなかで行政が強調しているのが、大阪市内における公設や民間の協力を得て設置された指定喫煙所などの整備状況だ。同市では当初の目標として指定喫煙所140カ所の整備を掲げていた。これに対し、1月27日時点で公設の指定喫煙所が51カ所、補助制度を活用した民間の指定喫煙所が119カ所で合計170カ所。さらに以前から設置されていた公設の指定喫煙所が7カ所、民間の指定喫煙所を無償で一般開放したところが123カ所あり、合わせて300カ所。また、喫煙可能な飲食店や商業施設など情報提供喫煙所13カ所を含めると全体で313カ所となる(大阪市議会での市側の答弁)。
ゴチャゴチャしていて分かりにくいが、当初目標の140カ所を大きく上回る313カ所を整備したということだ。この数字だけを見れば、「大阪市もよく頑張っている」と一定の評価が出てきそうだが、2月の市議会ではさらなる喫煙所整備を求める声が相次いだ。なぜか。それは喫煙所の内訳と整備数に数字のからくりがあるからだ。