「うまい棒」でおなじみ駄菓子の老舗やおきん ヒット商品作りの極意は「購買層に合わせない」
「うまい棒」「キャベツ太郎」「蒲焼さん太郎」──。日本人なら誰もが一度は手に取り、食べたことがあるはずだ。商品を手掛けるのは1960年創業の株式会社やおきん。同社は先を見通すのが難しい激動の時代をどのように戦っていくのか。
取材に対応してくれたのは営業企画部の田中浩次さん(47)と、小野貴裕さん(42)。それぞれ、「小学生時代はまだ見ぬ商品を求めて隣町の駄菓子屋まで遠征していた」(田中さん)、「学生時代は白米+キャベツ太郎+マヨネーズの『スナック丼』で飢えをしのいだ」(小野さん)という独特なエピソードの持ち主だ。いまも当時の情熱のまま駄菓子に向き合っているという。
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──さまざまな「うまい棒」グッズを出しています。
「大半は販売目的ではなく、キャンペーンの景品用で広報、宣伝が目的です。小学生のころは駄菓子を食べていても、徐々に駄菓子から遠のきがちです。キャンペーンで話題を集めることができれば、そんな層を呼び戻せるし、長年のファンの歓心も買える。その結果、長く愛してもらえる商品になるのです」(田中さん)
──「うまい棒」の発売当初からパッケージに登場しているキャラクター名は、誕生40周年の2019年に「うまえもん」に正式決定しました。
「実は2000年ごろにも、命名について社内で議論がありました。しかし、当社が名前を付けると、別の呼び方で愛着を持ってくれていた方の気持ちや思い出はどうなるのかなと。それで、棚上げされたままだったのです。19年に妹キャラの『うまみちゃん』が誕生して……、(真顔で)いや、留学先のウマイアミ州から帰ってきた(※という設定)。そこで“兄”であるアレの名前は、と。40周年を機に、公表は大々的にではなく静かに、ひっそりと(笑)」(田中さん)