マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと
「ニトリはあちこちのモールで見かけますが、家具はマレーシアの住宅のスペックに合わない。ドンキも常に客で賑わっているとは言えない状況です。ドトールも頑張っているようですが、地元の人がおいしいと思うコーヒーの味は違います」──。12年近くクアラルンプールに住む日本人Aさんは「調査をすればわかるはずなのに。日本企業はマレーシア市場を甘く見ているのでは?」と不満げだ。
三井不動産の「ららぽーと」も地元市民に背を向けられている。
一年の中で最も消費が活発になるシーズンといわれる断食明けのハリラヤ。筆者はハリラヤ目前の3月の土日に「三井ショッピングパーク・ららぽーとブキビンタン・シティーセンター」を訪れた。来店客は少なく、テナントも歯抜け状態だった。
フードコートは実に27店中11店舗が営業していない。食べることに目がないマレーシア人。ショッピングモールのフードコートは集客の心臓部に匹敵するが、「ららぽーと」のフードコートは、ショッピングフロアと同じく、指で数えられるほどの利用者しかない。イスとテーブルは自習室や打ち合わせ場所代わりに使われていた(同日、別のローカル資本のショッピングモールはどこも大盛況だった)。
この「ららぽーと」が開業したのは2022年1月。店舗面積約8万2600平方メートル、全体敷地面積は約7万8500平方メートルの大規模プロジェクトだ。
この広大な土地には、かつて刑務所があった。1895年に建てられたプドゥ刑務所の跡地に日本企業が進出してきたことは、マレーシアでも大きく注目された。