猛暑日でも最良リッター27km!ホンダ新型フリードの実燃費が予想外にイイわけ
ホンダ フリード(車両価格:¥2,508,000/税込み~)
新車のカタログ燃費をよりリアルに近いWLTCモード=Worldwide harmonized Light vehicles Test Cycle(国際調和燃費試験法)で表示するようになってからはや6年。かつてのように「カタログ値はいいんだけど、実際に走ってみるとそれほど良くない」というような乖離はほぼなくなった。
それどころか、丁寧に運転すると実燃費が逆にカタログ値を上回ることさえある。最近またまたそれを実感させられたのが新型ホンダ フリードだ。
人気コンパクトミニバンの3代目で今夏デビュー。内外装に走りまで刷新して価格は上がっているが、それでも200万円半ばから買える手軽さでハイブリッドシステムも一新。普通のガソリン1.5ℓモデルもあるが、自然とホンダ独自の1.5ℓe:HEV搭載車に注目が集まる。
「実燃費はもっとイイですよ」
このe:HEVは加速をほぼ電動モーターのみ(高速クルーズ時を除く)で行うため、トヨタハイブリッドより全域で滑らかかつ静か。WLTCモード燃費も最軽量AIR FFグレードの25.6km/ℓを皮切りに、AIR EXが25.4km/ℓと、旧型比で5km/ℓほど向上。
しかし競合のシエンタ ハイブリッドは最良28.8km/ℓで、売れ筋ハイブリッドZが28.2km/ℓとホンダを上回る。さすがにトヨタは凄いな……と思いつつフリード開発者の安積さんに聞くと、「実燃費はもっとイイですよ」と言う。
そこで夏の終わりの猛暑日、一般道約80kmの燃費テストを敢行した。出発時は外気温34度で、後半36度のほぼ猛暑日だ。燃費計測は満タン法ではなく、途中経過が分かるメーター表示を使用した。
するとイキなり最初の10kmで19km/ℓ台。走り始めはエンジン暖気でエネルギー食うし、エアコンもガンガン効いていることを考えると予想以上だろう。もちろん燃費測定ということで、走行モードは加速抑えめの「ECON」に設定し、巡航速度も法定速度を超えないゆっくり目。好き放題アクセルを踏んだらこんな数字は絶対出ないが、正直なかなか凄い。
エアコンも結構効いているのに想定外の低燃費
その後は20kmで22km/ℓ台、30kmで23km/ℓ台と順調に伸び、40Kmで25km/ℓ台。50kmを超えたところでピークの27km/ℓを記録した。
猛暑日の一般道とはいえ、早朝で微妙に涼しめで道も流れていた。しかしカタログ値の25.4km/ℓを1.6km/ℓほど上回るメーター計測燃費は想定外だ。エアコンも結構効いているのに。
さらに一旦停止して所用を済まし、一般道80Kmの時点で25.3km/ℓとほぼカタログ値達成。その時点の外気温は35度だった。おそらくこの数字はシエンタハイブリッドとさほど変わらないはずだ。
ちなみその前週もフリードAIRの4WDで一般道燃費を測ったが、メーター計測で最高24.9km/ℓとなかなか。車重とフリクションが増えた割に良好だ。
ホンダエンジンの素生の良さが予想外の燃費を生む
さて、フリード ハイブリッドe:HEVの燃費がなぜ予想外にいいのか。単純にボディ空力の良さもあるが、基本はホンダエンジンの素生の良さだろう。1.5ℓ直4は滑らかで、パワフルなだけでなく発電時の効率がよい。
これは日産eパワーもそうだが、ハイブリッド燃費は結局のところ、各メーカーが誇るエンジン効率の影響が大きい。また電動車は減速時に回生ブレーキでエネルギーを貯めることができるので、上手く使うとストップ&ゴーの多い街中も効率良く走れる。
逆に高速では速度なりに燃費も落ちてしまい、今回の帰り道、高速を時速80Km前後で延々と走ったら23~24km/ℓ台。十分イイっちゃイイが一般道よりは落ちた。
とはいえ、「丁寧に走れば」の条件付きだが、一応6~7人が乗れる大スペース車の猛暑日燃費がコンパクトハイブリッドや軽自動車並みって凄い。この効率的エコ性能は世界に誇るべきだと思うのだが、いかがだろうか。