上田美由紀死刑囚が獄中死前に見せていた異変…文通を続けたライターに八つ当たり
鳥取連続不審死事件 上田美由紀死刑囚
2009年に社会を騒がせた鳥取連続不審死事件の上田美由紀死刑囚(享年49)が1月14日、収容先の広島拘置所で食べ物をのどに詰まらせ、窒息死した。私は彼女が裁判中に2年ほど面会や文通をしたが、これまでに会ったさまざまな殺人犯の中でもキャラクターの特異さは際立っていた。
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〈上田美由紀死刑囚が死亡〉──。
その第一報に触れた時、少し驚いたものの、意外な感じはしなかった。予兆めいたものがあったからだ。
死刑囚は外部の人間とほとんど接触できないが、彼女は月刊誌「紙の爆弾」(鹿砦社)で「広島拘置所より…」という連載を持っており、獄中生活の様子も書いていた。しかし、最近は休載が増え、以前は触れていなかった冤罪の主張を書くようになるなどの異変がみられた。
裁判で死刑が確定して5年余り。複数の持病もあったそうだが、いつ執行されるかわからない死刑への恐怖などから心も弱っていたのだろう。
鳥取市でスナックホステスや取り込み詐欺をして生きていた彼女は09年の秋、周辺で6人の男性が不審死していることを大きく報道された。
5人の子供がいるシングルマザーだった彼女は肥満体形で、美人とは言い難い容貌。交際相手の男や子供らと住んでいた長屋風のアパートはごみ屋敷と化していた。そんな彼女が不審死した男性の何人かと交際し、金品を受け取っていたため、「男たちはなぜ、あんな女に……」と世の人々の好奇心を刺激した。
私が彼女と初めて面会したのは13年の秋だった。彼女はその少し前、鳥取地裁の裁判員裁判で、債務の返済を免れるために2人の男性を殺害した罪で死刑を宣告されていた。冤罪を訴える彼女は当時、松江刑務所に収容され、広島高裁松江支部に控訴中だった。
■「私が人に暴力をふるうように見えますか」
報道の写真では巨体に見えた彼女だが、面会室で向かい合うと身長は150センチにも満たないほどの小柄と分かり、太ってはいるものの印象が違った。
「私が人に暴力をふるうように見えますか……?」
彼女がおどおどしつつ、そう聞いてきたので、「暴力をふるいそうには見えませんね」と答えると、安堵したような様子を見せていた。