著者のコラム一覧
片岡健ノンフィクションライター

出版社リミアンドテッド代表。著作に、「平成監獄面会記」、同書が塚原洋一氏によりコミカライズされた「マンガ 『獄中面会物語』」(共に笠倉出版社)など。

上田美由紀死刑囚が獄中死前に見せていた異変…文通を続けたライターに八つ当たり

公開日: 更新日:

実在しない「友人」について喜々と話し…

 この日から面会と文通を重ねたが、話をしている時はいつもニコニコしながら、「片岡さんの書いた記事は心にどっしりきます」「片岡さんになら何でも話せそうです」などと私のことを持ち上げた。不審死した男性たちに対しても、こうやって機嫌をとっていたのだろうと想像させられた。

 ただ、私になら何でも話せそうだと言いながら、事件のことについて聞くと、なんだかんだと理由をつけ、話をはぐらかした。そんな状態が続いても無駄なので、「話したくないことは無理に話さなくてもいいですよ」と言ってみても、彼女は「大丈夫です。片岡さんには何でも話します」と言い張り、結局、事件のことについては話をはぐらかし続けた。付き合っていて、非常にストレスがたまるタイプだった。

 何より忘れ難いのは、“友人たち”の話をよくしていたことだ。

「友人たちは、私を助けたいと必死です」

「友人たちは、そのために資料や写真を集めまくっています」

「友人たちは、片岡さんが鳥取に取材に来たら、車でいろいろ案内して回ると言っています」

 そんなことを喜々として話していたが、結局、その友人たちを私に紹介することはなく、連絡先すら教えなかった。要するに実在しないのだ。人生で友人と呼べる人間はほとんどいなかったのだろうと思うが、彼女の心の闇の深さを感じた。

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  2. 2

    ロッテ吉井監督が佐々木朗希、ローテ再編構想を語る「今となっては彼に思うところはないけども…」

  3. 3

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 4

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  5. 5

    【埼玉・八潮市道路陥没「2次被害」現場ルポ】発生2週間、水は濁り死んだ魚が…下水放流地で見た河川の異変

  1. 6

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  2. 7

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  3. 8

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  4. 9

    20代女子の「ホテル暮らし」1年間の支出報告…賃貸の家賃と比較してどうなった?

  5. 10

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”