上田美由紀死刑囚が獄中死前に見せていた異変…文通を続けたライターに八つ当たり
実在しない「友人」について喜々と話し…
この日から面会と文通を重ねたが、話をしている時はいつもニコニコしながら、「片岡さんの書いた記事は心にどっしりきます」「片岡さんになら何でも話せそうです」などと私のことを持ち上げた。不審死した男性たちに対しても、こうやって機嫌をとっていたのだろうと想像させられた。
ただ、私になら何でも話せそうだと言いながら、事件のことについて聞くと、なんだかんだと理由をつけ、話をはぐらかした。そんな状態が続いても無駄なので、「話したくないことは無理に話さなくてもいいですよ」と言ってみても、彼女は「大丈夫です。片岡さんには何でも話します」と言い張り、結局、事件のことについては話をはぐらかし続けた。付き合っていて、非常にストレスがたまるタイプだった。
何より忘れ難いのは、“友人たち”の話をよくしていたことだ。
「友人たちは、私を助けたいと必死です」
「友人たちは、そのために資料や写真を集めまくっています」
「友人たちは、片岡さんが鳥取に取材に来たら、車でいろいろ案内して回ると言っています」
そんなことを喜々として話していたが、結局、その友人たちを私に紹介することはなく、連絡先すら教えなかった。要するに実在しないのだ。人生で友人と呼べる人間はほとんどいなかったのだろうと思うが、彼女の心の闇の深さを感じた。