著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

山崎晃嗣は上官の命令で物資を隠匿 ただ一人有罪判決を受ける

公開日: 更新日:
東大生社長の山崎晃嗣が自殺した「光クラブ」社長室。机の上に置かれた写真は山崎本人=1949(昭和24)年11月25日、東京・銀座(C)共同通信社

 光クラブを起こした山崎晃嗣は軍内でもう一つ濡れ衣を着せられ大変な目に遭っている。学徒出陣の大学生は20歳を越えていたにせよ、社会的経験は極めて薄かった。軍隊内部で生きるということは、そうした社会的未熟さがしばしば利用され、煮え湯を飲まされることでもあった。

 親友を私的制…

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