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児玉光雄追手門学院大学客員教授

47年兵庫生まれ。京大工学部卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院に学び工学修士号を取得。米国オリンピック委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員として五輪選手のデータ分析に従事。前鹿屋体育大教授。日本スポーツ心理学会会員、日本体育学会会員。

スポーツ心理学者が語る松山英樹「全英OP優勝争い」の条件

公開日: 更新日:

 いよいよ全英オープンが始まる。ファンが期待するのは松山英樹(23)のメジャー制覇である。松山が最初の2日間一緒に回るのが、今年のマスターズと全米オープンを連覇したJ・スピース(21)と、そのスピースと全米オープンで優勝争いを演じたD・ジョンソン(31)であることからも、主催者であるR&Aの松山への期待が読み取れる。

 松山のツアーにおける最新のデータを見てみよう。最も注目されるのが今シーズントップ10に入った回数である。断トツのスピースの11回に次いで松山は8回と2位につけている。トップ10が多いことは、すなわち優勝争いに絡む確率が高いということである。ただし、平均パット数は1.748で39位タイ。1位のスピースが1.686であるから、4日間で5打の違いが生じることになる。松山が優勝争いに絡むためには、パットが好調であることが必須であると考えている。

 それでは私の専門分野であるスポーツ心理学の観点から松山の優勝に不可欠な心構えについて述べてみよう。

 スポーツ心理学の専門誌「ジャーナル・オブ・スポーツ・アンド・エクササイズ・サイコロジー」に興味ある事実が発表されている。それは、自分なりの目標を決めているスポーツ選手(例えば、フリースローを70%成功させる、1マイルを先月よりも15秒速く走る等)は、ただ勝つことだけを目標としている選手よりもシュートを成功させるし、速く走るというのだ。あるいは、全米心理学協会のデータにおいても、「他人と競争する人間」よりも「自分の限界に挑戦する人間」の方が優れた業績を挙げていることが証明されている。

 もしも、今週の全英オープンで松山が4日間とも「パットが好調」で、「具体的な数字の入った目標を設定して他人を意識することなく自分のプレーの限界に挑戦する意識」を持ったなら、優勝争いに絡んでくるはずだ。全英オープンでの松山をはじめとする日本人選手の健闘を期待したい。

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