角界の“見えない狂気” 元熊ケ谷親方初公判で改めて浮き彫り

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 ベテラン相撲記者は「以前は『相撲部屋に暴力は付きもの』と誰もが疑っていなかった」と、こう話す。

「親方衆の多くは、指導のためなら何をやっても許されると心から信じていた。自分も殴られて育ってきたからです。新弟子もそうした噂を聞いているので、ある程度は覚悟をしている。『やりすぎじゃないか』と疑問を抱いても、周囲は当たり前のことと受け入れていますからね。次第に自分の考えの方が間違っているような錯覚に陥り、しまいには『これも伝統なら仕方ない』と受け入れてしまう。一種の洗脳、宗教に近い」

 07年の時太山暴行死事件以降は、稽古場など人目につく場所での暴力は減った。が、完全になくなったわけではない。事件以降も13代目鳴戸親方(元横綱隆の里)、春日野親方(元関脇栃乃和歌)らの暴力が報じられた。厳しい稽古も暴力もまとめて「かわいがり」という言葉を使う角界のことだ。暴力への忌避感はないに等しいに違いない。

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