19年のプロ生活に終止符…闘莉王の最も思い出深い出来事は
それから9年が経ち、J2京都で現役を終えることになったが、彼の闘争心は38歳になる現在まで凄まじいものがある。
時には仲間やサポーターと怒鳴り合いになっても妥協せず、貪欲に勝利を追い求めた。楢崎氏も「日本サッカーのために力を尽くし、名前の文字通り、闘ってくれた。彼以上に存在感を示した選手はいない」と最大級の賛辞を贈ったほどだ。
■「気持ちを伝えられる選手は消えてほしくない」
そんな彼にとって、プロキャリアで最も思い出深い出来事は、やはり南アW杯パラグアイ戦のPK戦だという。
「(3番手の)駒ちゃん(駒野友一=FC今治)が外したけど、実は自分が5番目だった。それまで何度もPKを外していたのに、岡田(武史=FC今治代表)監督が『お前、蹴れ』と言ってきた。ボーっとしていた僕は『はい』と答えてしまったけど、結末を見られずに終わった。『外すんだったら自分でもよかったんじゃないか』と考えてあの晩は寝ずに過ごしたし、あんなに『蹴りたい』と強く思ったことは今までなかったですね」と本人は述懐する。