「寂しいアラフィフ女認定は絶対にイヤ!」自分のブランディングに翻弄される47歳女性の見栄【冷酷と激情のあいだ】
47歳、本気のパートナー探し中
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。
【冷酷と激情のあいだ〜女性編~】
1年ほど前から本気でパートナー探しを始めた瞳さん(仮名)は、47歳になったばかり。
つい最近も、知人や友人を介して紹介を受けた3名の男性と会ってみたそうですが「どの人もピンとこなかった」と肩を落とします。
しかしそのうちの1人、カツノリさん(仮名)だけは、出会った翌日からずっと猛アタックを続けていて、瞳さんは「お試しで付き合ってみるべき?」と悩んでいます。
「カツノリさんは、友人の紹介です。確か、私よりも5歳上だったかな。友人の前の職場での同僚だったらしく『穏やかな人柄で、仕事もできるタイプだから気に入ると思うよ』って紹介してもらったんです。
だから期待していたんですけどね〜、実際に会ってみたら“うーん”って感じ。正直、恋愛対象外のタイプです
ただ、あまりにも熱心にアプローチしてくれるので…。そんなに気に入ってくれたなら付き合うのもアリなのかな? って思っています。でもなあ…」
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怒涛のダメ出し
交際に対して前向きになれない理由を、瞳さんに聞いてみると…。
「えーっとですね…。まずね、顔がダメ。ブサメンじゃないけど、全然好みじゃないんです。
いかにもオジサンって感じのファッションセンスもナシです。なんとなく湿ったニオイがするのも苦手。加齢臭ではないと思いたいんですけどね…。
あ、それから料理や洗濯ができないって話していたのも、引っ掛かっています。
年収も期待していたほどには高くないみたい。まぁ私も働いているし、今さら子どもを作るわけでもないから、あまり重視しなくてもいいのかもしれないですけど。うーんと、それから…」
瞳さんからは、止まることなくカツノリさんへのダメ出しが続きます。ここまで「嫌な点」だらけなら、そもそも交際を検討する必要はないようなものですが…。
とにかく“彼氏”が必要
瞳さんは「ある切実な理由あるんですよ」と困り果てた表情で続けます。
「えっとですね、先日会社の後輩に『彼氏はいるんですか?』って訊かれて、つい見栄で“いる”って言っちゃったんですよね。
そうしたら『先輩の彼氏に会ってみたいです!』って盛り上がってしまい、一緒に食事をする流れになったんです。だから、とりあえずでもいいから“彼氏”が、どうしても必要なんですよ。だけど、明らかにオジサンな見た目のカツノリさんを、後輩に会わせても恥をかくのは自分では? という迷いもあって。
カツノリさんに対して、ずいぶんと失礼なこと言っていますよね。その自覚はあります。カツノリさんには一切、私の事情は話していません。
自分の“見栄”のためだけにカツノリさんの純粋な感情を利用するなんて、申し訳ないとも思っています」
寂しいアラフィフ独身女と思われるのは嫌!
瞳さんは目を伏せ深いため息をついた後、おもむろに顔を上げ強い口調で続けます。
「だけど…、後輩から“寂しいアラフィフ独身女”って思われるのは、絶対にイヤなんです。“仕事もプライベートも充実しているアラフィフの先輩”っていう立場は崩したくない。そのためにカツノリさんと、とりあえず付き合ってみるしかないんでしょうかねえ。
あーあ、素敵な彼氏がいれば、こんなくだらない悩みを抱えなくてもいいのになぁ…。50歳近くにもなって、何やってるんでしょうね。自分でも想定外ですよ」
自分のブランディングのため、カツノリさんと交際する罪深さに、瞳さんは悩み続けています。
(並木まき/ライター・エディター)