大谷リアル二刀流で8勝40本塁打! 本塁打王はもちろんMVP、サイ・ヤング賞「同時受賞」に現実味
エンゼルス・大谷翔平(27)が日本時間20日のタイガース戦に「1番・DH」で出場し、3打数2安打1打点2四球。八回に中犠飛による88打点目を挙げ、89打点でリーグトップのホワイトソックス・アブレイユ、レッドソックス・デバースの2人に1打点差と迫った。
■投手としても軒並みリーグ上位
後半戦に入って目を引くのは本塁打王と打点王争いを繰り広げるバッティングより、むしろ投手としての安定感だ。リアル二刀流で出場した前日のタイガース戦はメジャー自己最長の8回を6安打1失点、8奪三振で8勝目(1敗)をマーク。6試合連続のクオリティースタート(QS=6回以上を自責点3以内)で、防御率は2.79になった。
大谷は19日現在、18試合計100イニングと規定投球回数(122)には達していないものの、成績は軒並みリーグ上位に付けている。2点台の防御率は2.26のホワイトソックスのリン(10勝3敗)、2.88のブルージェイズのレイ(9勝5敗)の2人だけで、大谷の2.79はリーグ2位に相当する。
9イニング当たりの奪三振率10.80はヤンキースのコール(12.24)、ホワイトソックスのシース(11.91)、レイ(10.94)に次ぐ4位に付けている。
ア・リーグ首位12勝バシットが打球直撃で離脱
今季の大谷は出塁を許さない投手のひとりに数えられ、1イニング当たりに出した走者数を示すWHIP1・06はレイと並ぶ3位だ。
特に後半戦は目覚ましいパフォーマンスを発揮している。オールスター(7月14日=コロラド州デンバー)では本塁打競争に参加し、史上初の二刀流出場とハードな日程を強いられながら、5試合計33.0イニングに登板して4勝0敗、防御率1.36。勝ち星はヤンキース・グリーンら3人とともにトップタイ、防御率は1位で、後半戦に限ればメジャーでも屈指の投球内容である。
マドン監督が「MVPやサイ・ヤング賞の投票権を持つ記者は彼(大谷)の動向から目が離せないだろう」と話すのは当然だ。
「今季の大谷は投手としてもチームへの貢献度が高いと言えます」とスポーツライターの友成那智氏がこう続ける。
「WARという選手の貢献度を示す指標を見ると、投手としての大谷は3.8で、4点台のレイ(4.7)、リン、コール(ともに4.4)に続いてリーグ4番手に付けています。サイ・ヤング賞は奪三振数の他、近年ではWARが重視される傾向にあり、大谷が調子を維持して上位3人の結果次第では逆転も決して不可能ではないと思います」
ここにきて、ア・リーグトップの12勝(4敗、防御率3.22)をマークしているアスレチックスのバシットが18日のホワイトソックス戦で頭部に打球が直撃して戦列を離れた。
大谷同様、投手部門で軒並み上位に名を連ねているコールは今季、厳格化された粘着物質使用の疑惑が持たれており、成績の正当性を疑問視する声が少なくない。ライバルの状況からも投手として最高の栄誉を得る絶好の機会なのだ。
■記者投票で規定投球回数は度外視
大谷にとって唯一の懸念材料があるとすれば、投球回数だろう。ここまで1試合平均約6イニングを投げている。仮に中5日でマウンドに上がると、今季の登板は残り6試合となり、イニング数は136。規定投球回数(162)には届かない計算になる。
「ここ数年、各球団とも先発投手には長いイニングを任せない傾向にあり、エース級でも5~6回で降板させるのは珍しくなくなりました。米メディアの間では以前ほど規定投球回数が重視されなくなっています。大谷はサイ・ヤング賞の最終候補3人にエントリーされるだけでなく、投票権を持つ記者が規定投球回数を度外視して、投手としての貢献度を評価すれば、最多得票を得るかもしれません」(友成氏)
大谷は現在、本塁打、打点の2冠を狙える位置に付けている上に、ア・リーグMVPが有力視されている。
シーズンを通じて投打の二刀流をこなすだけではなく、打撃2冠の他、MVPにサイ・ヤング賞まで受賞となれば、まさに夢物語である。