著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

GKシュミット・ダニエル 明日のW杯ドイツ戦先発と言われたら「自信を持って臨める」

公開日: 更新日:

シュミット・ダニエル(30歳・ベルギー1部・シントトロイデン)

「魅力的なサイズがある中でしっかりと動けている」と日本代表・下田崇GKコーチが絶賛するのが、30歳の長身守護神シュミット・ダニエルだ。9月27日のドイツ遠征・エクアドル戦でのPKセーブで一躍、存在感を高めた男への期待は高まる一方。「僕の理想像は(ベルギー代表の身長2メートルGK)クルトワ(レアル・マドリード)。見ていてシュート、入る気がしないですから」。神妙な面持ちで話す大型GKは「そびえ立つ壁」として、ドイツやスペインに立ちはだかれるのか──。

 ◇  ◇  ◇

 ──もともとはボランチでプレーしていた。

「東北学院中まではそうでした。でも、GK以外は生きる道がなかった。走れなくて、当時の監督からも『GK、やった方がいいんじゃないか』と言われてフィールド(プレーヤー)をやめました(苦笑)。今、思えばその選択は、間違いなく良かったですね」

 ──2014年に中大からJ1仙台入りし、J2の熊本、松本山雅へのレンタルを経て19年の夏からベルギーで海外挑戦に踏み出した。

「1年目はケガで半分ほど出られず、2年目は出場が増えてリーグ3番目くらいのセーブ率でした。3年目の昨季は感触が良く、特に後半戦は活躍できた。そこで『何かあるかな』と少し思ったんですが……。移籍しないまま今季を迎えました」

 ──立石敬之CEOも「ダンはベルギー国内で評価が高い」と言っていた。それでもステップアップがかなわないのは?

「コロナの影響もありましたけど、21年の頭に契約を延長したのが理由のひとつかな、と。日本人GKが欧州のクラブから請われるのは、本当に簡単なことじゃないと痛感してます。(日本代表GK)永嗣(川島=ストラスブール)さんを見て、自分もそうありたいなとは思いますが、彼のキャリアはマジで凄いです」

 ──川島選手が欧州5大リーグへ行けたのは?

「もちろん実力があればこそ、ですが、語学力もかなり大きいのかな。僕も2カ月前くらいからフランス語の勉強を始めましたが、難しいです」

 ──下田コーチも「日本人GKが海外で経験を積み重ねることは重要」と話している。

「確かに日本にいる時とは、スピード感が違いますね。(同国の名門)クラブ・ブルージュとか欧州CLに出るような質の高いチームは、こっちがミスしたら確実にシュートにまで持ち込んできます。攻守の完成度が高いし、もちろんFWの能力も高い。(海外に出て)いろんな国の選手と対峙できるのも大きい。日本にいた時は、黒人選手や欧州出身のFWと相対すると身構えることもありましたが、こっちでは普通のことですからね。もう慣れましたね」

 ──そうやってベルギーで試合に出ていても、カタールW杯の最終予選では出番なしに終わった。

「控えの立場を受け入れられない、とかは全くないです。練習を一緒にやっていても、ゴンちゃん(権田修一=清水GK)が試合に出る理由があるのは分かっていますから。自分が出る、出ないは二の次で日本に勝ってほしいという気持ちが一番でした。節目だった21年10月の(最終予選1勝2敗で迎えた4戦目の)豪州戦は僕、代表から外れていましたから(苦笑)」

 ──下田コーチに落選理由を聞いたことは?

「いや、ないですね。クラブの試合のフィードバックはもらってます。シュートが来る前の準備だとか、ルーズボール前の準備など、凄く意識するようになった。あと、慌てて下がるようなこともしなくなりました」

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