江上剛さん「ゴルフ人間図鑑」を語る「スコアが向上しない恨みを小説で晴らしました(笑)」
6話連作小説 4月3日から連載スタート
ゴルフにはまってしまった。コロナ禍で、家に引きこもるよりはと思い、3年前、埼玉県の飯能ゴルフクラブに入会した。
銀行員時代も作家になってからも熱心なゴルファーではなかった。練習もしなければ、数カ月に1度くらいプレーするだけだった。
しかしやる以上は、うまくなろうと思い、66歳の手習いを始めた。まず地元のゴルフ練習場でレッスンプロに指導を仰ぐ。ところがドライバーはスライスばかり、アイアンはフックばかり。それでも練習を継続する間になんとか格好がつくようになった。
飯能ゴルフクラブは、井上誠一の弟子である和泉一介がデザインした名門である。フラットな林間コースだが、フェアウエーには微妙なアンジュレーションがあり、グリーンは小さく、高速で難しい。
古いメンバーは「やればやるほど難しくなります。だから飽きない。何度でも挑戦したくなります」と言った。実際、アクティブ会員が多い。
さて私はどうか。素人ゴルファーの目標である100切りがなかなか達成できない。先ほどまで真っすぐ飛んでいたドライバーが急に曲がりだす。バンカーでホームランを打ち、ボールははるかかなたへ。18番は右に池のある名物コースだが、ティーイングエリアに立つと急に心臓がバクバク。数々のミスショットの記憶が蘇り、ボールはあたかも予定されていたかのように右に大きくスライスし、池にドボン。