心臓血管疾患
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狭心症(1)唐突に左胸にチクチクした痛みが… 思いがけない「疑い」診断
関東圏に住むプログラマーの東海林治郎さん(仮名=68歳)は今年2月、左胸(乳の下)あたりに、唐突にハチにチクッと刺されたような痛みを覚えたという。 「それから1週間ほど経て、再び同じ場所と今度は背中も痛む。日が増すにつれて胸あ...
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適量のお酒が心臓を守るのは本当なのか ストレス緩和が影響
適度な飲酒をしている人は心臓発作が大幅に少ない--。米国でそんな研究結果が報告されました。マサチューセッツ総合病院の研究グループが約5万3000人(年齢中央値60歳、女性60%)を3.4年にわたり追跡調査したところ、軽度/中度のアル...
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AIによる診断と治療はいずれ人間の医師を超えるだろう
前回、「ナノボット」と呼ばれるナノメートル(10億分の1メートル)サイズのロボットを患者の体内に注入し、血管内のプラーク(粥腫)を取り除く治療法の研究開発が進んでいるとお話ししました。臨床の現場で実用化されるにはまだ時間がかかりそう...
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ナノボットでプラークを取り除く治療法が現実になる可能性
1960年代に公開された「ミクロの決死圏」というアメリカ映画があります。脳出血で倒れた患者を救うため、すべての物質をミクロ化させる技術の究極版として、医療チームが乗り込んだ潜航艇を微小サイズにして体内に送り込み、脳の血管内から血腫を...
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ダメージを減らす「心筋保護液」の投与法は進歩し続けている
安全で確実な心臓手術を行うために欠かせない「心筋保護」についてのお話の続きです。 前回まで述べてきたように、心臓を停止させて行う手術では、血流が途絶えることで心筋細胞が障害され、術後に血流を再開しても心臓の収縮が不良で心機能...
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治療を受けてもよくならない…それは「心臓の肥満」かもしれない
心臓の機能が低下して、心不全や狭心症と診断され、治療を続けているのになかなか改善しない……そんな状況に悩んでいる人は、心臓や血管に中性脂肪がたまって起こる“心臓の肥満症”かもしれない。東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信氏に聞い...
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「心筋保護液」はさまざまな試行錯誤の末に確立された
心臓手術において、「心筋保護」が“守りの要”といえるくらい重要であると前回お話ししました。 心臓を停止させて行う手術では、血流が途絶えてしまうことで心筋細胞が障害され、術後に血流を再開しても心臓の収縮が不良で心機能が戻らなく...
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「心筋保護」は心臓手術の25%を占めるといえるほど重要な要素
安全で確実な心臓手術を行うためには、「心筋保護」が欠かせません。心臓手術全体の25%は心筋保護が占めているといえるくらい大事なもので、手術成績を左右する重要な因子です。 心臓や血管のトラブルなどにより心臓の筋肉=心筋への血流...
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脈拍が速いと早死にするという説は本当か?頻脈は心房細動リスク増
脈拍=心拍数が速い人は早死にする──。こんな“説”を耳にしたことがあるのではないでしょうか。厳密には、心拍数は心臓が一定時間内(1分間)に拍動する回数、脈拍は体内の各血管が一定時間内(1分間)に拍動する回数を指しますが、同じ意味とし...
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睡眠時無呼吸症候群の治療装置CPAPが心臓を守り若さを保つ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)に代表される「睡眠呼吸障害」は、心臓疾患の大きなリスク因子であることが知られています。今年3月には「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」の2023年改訂版も発行され、睡眠と心臓...
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若年性脳卒中は発症から1年以内でがんリスクが増加する
脳卒中というのは、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって起こる脳の病気の代表で、血管が詰まる脳梗塞と、血管が破れる脳出血とに分かれます。 通常、脳卒中は脳の動脈硬化に伴って起こることが多く、そのため50歳以上で発症する...
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サプリメントと正しく付き合うために意識するべきポイント
これまで何度かお話ししたように、私は生活リズムをきちんと整えることを目的として、普段からサプリメントを使用しています。さまざまなものを試してきましたが、現在は、腸内環境をコントロールするもの、抗酸化作用が認められている補酵素など3種...
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心臓疾患を発症したがん患者はまず心臓の治療を行うのが原則
よく使われている抗がん剤の中には心臓に対する毒性が認められるタイプがあり、副作用として心不全を起こすケースがあります。中でも「アントラサイクリン系」の抗がん剤は、使用している患者さんの約10%で副作用として心臓の機能に障害が起こり、...
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心毒性のある抗がん剤を使っているがん患者は心不全に注意
今年3月、一部の抗がん剤で心臓への強い副作用が出ることを受け、日本臨床腫瘍学会や日本腫瘍循環器学会が心臓に対する副作用への対応などについて初めてガイドラインをまとめました。 乳がん、肺がん、胃がん、大腸がん、悪性リンパ腫とい...
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薬のプラスアルファの効果が日本人の健康寿命に関係している
前回、尿酸値と心房細動を含む心臓疾患は深く関係していて、心臓を守るためには尿酸値をきちんとコントロールすることが大切だとお話ししました。そのために、尿酸値を下げる薬をうまく使うこともおすすめしました。その際、尿酸生成抑制薬の“おまけ...
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心筋梗塞の診断と治療はどう変わる? 再生治療で心臓は半永久的に動き続ける
心臓の機能障害は高齢化が進む日本社会で最も多い疾患のひとつ。それを引き起こす原因のひとつが「心筋梗塞」だ。死亡率の高い急性心筋梗塞は急激に血管内がプラークや血栓などで詰まり、心臓自体を栄養する太い血管(冠動脈)の血流がなくなって栄養...
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尿酸値をしっかりコントロールして心臓を守る 心房細動とも関係
中年期に尿酸値が高いと将来的な心房細動リスクが大幅に上昇する──。今年1月、アメリカ心臓協会のオープンアクセスジャーナルに、そんな研究結果が報告されました。スウェーデンのカロリンスカ研究所が、30~60歳で心血管疾患の既往がないスウ...
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大掛かりな手術では術中から血栓ができやすい状態になる
足の骨折や股関節など下肢の整形外科手術を受けた後、療養中に運動量が減ってしまうと、足の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」、その血栓が血流に乗って心臓まで移動し肺の動脈に詰まる「肺血栓塞栓症」を起こすリスクが高くなると前回お話ししま...
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高血圧はカテーテル治療で治す 降圧剤は一時的に下げるもの
高血圧は、心臓病や脳卒中など多くの病気の原因になります。塩分を多く取っていたり、肥満があると血圧は上昇するので、高血圧ではまず生活習慣の改善が必要とされ、それでも高い血圧が持続する場合には、降圧剤と呼ばれる薬を飲むことになります。 ...
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療養中に下肢でつくられた血栓が動脈に詰まり手術で取り除くケースも
病気やケガで入院や自宅での療養が続き体を動かす時間が減ると、足の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」と、その血栓が血流に乗って心臓まで移動して肺の動脈に詰まる「肺血栓塞栓症」を起こす危険があります。そのまま重症化するとショック状態に...
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死亡リスク3.5倍の「心房細動」に要注意…患者の4割が無症状
「心房細動」と聞いて、どんな病気かわかる人はそう多くはないのではないか? 巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さんやサッカー日本代表元監督のオシムさん(故人)が心房細動が原因で脳梗塞を起こした──と言えば「あぁ」と思う人もいるかもしれない。3...
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【血圧】「心拍出量」と「血管抵抗性」で決まる 上が140以上で高血圧
コロナ禍が収束し、新年度を迎えようとしています。春は健康診断の季節、いまから心がざわついている人もいると思います。今回は健診項目について、簡単に解説していきます。 最初は「血圧」です。いまさらと思うかもしれませんが、どんな数...
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「もうひとりの自分」と「時間が止まる」 高みを目指す過程で現れた2つの感覚
前回、およそ20年ぶりに手術での縫い方を変えたことについてお話ししました。チームのスタッフとの連携があまりうまくいかないケースがあり、縫合している最中に糸が切れてしまうトラブルが何度か発生したことが大きなきっかけでした。 手...
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20年ぶりに手術での「縫い方」を変更した理由 変革は常に必要
これまで何度もお話ししてきたように、近年の心臓手術は患者さんの負担をより小さくする「低侵襲化」の方向に進んでいます。 新しく開発された医療機器を使用する治療法もありますが、低侵襲化のベースになっているものの多くは従来の手術で...
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落語家・笑福亭笑瓶さん死去「急性大動脈解離」は致死率が高い…専門医が解説
落語家の笑福亭笑瓶(本名・渡士洋)さんが22日午前、急性大動脈解離のため死去した。66歳だった。 べっ甲メガネがトレードマークだった笑瓶さんはバラエティー番組などで活躍。ウィッキーさん、「魔法使いサリー」のよしこちゃんのモノ...
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進化する低侵襲治療は「高額医療」でもあると知っておくべき
これまで何度かお話ししてきましたが、近年、心臓手術は「低侵襲化」の方向に進んでいます。これまでの手術と同じ内容のまま患者さんの負担をより小さくするための方法が模索されているのです。たとえば、「TAVI」(経カテーテル大動脈弁留置術)...
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「とうとう来ましたか」と言われ…俳優・前田吟さん狭心症のカテーテル手術を振り返る
病気の話ね、いろいろやってるからね。一番新しいのは去年の「白内障」の手術。だけどやっぱり5年前の「狭心症」が大変だったね。 初めて心臓に異変を感じたのは、70歳の手前。いつも朝一番の新幹線に乗るために、ある区間を走っていたん...
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心臓移植はドナー不足…「再生医療」の進歩に期待したい
重度の心臓病により移植しか助かる方法はない──そう診断された幼い子供が、米国に渡航して心臓移植手術を受けるケースが相次いでいます。 日本では1997年に臓器移植法が施行され、脳死と判定された人からの臓器移植が可能になりました...
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「美しい死」に感じる造詣の深さ 病理学者・森亘先生の言葉
以前、病院の経営会議の座長をお願いするため、医療科学研究所に初代理事長の森亘先生(2012年没)を訪ねた時のお話です。 会議の内容を30分ほど説明し、先生にご了解いただいてから私は席を立ちました。研究所の入り口で挨拶をして失...
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「運動」は動脈硬化を予防するためにきわめて大切
前回に引き続き、動脈硬化の予防についてお話しします。 心臓から送り出される血液を全身に行き渡らせる役割を担う動脈が硬くなって柔軟性が失われる動脈硬化が続くと、狭心症、心筋梗塞、大動脈解離、大動脈弁狭窄症といった心臓疾患をはじ...