週間読書日記
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早見和真(作家)
4月×日 一連の自粛要請を受け、僕の住む愛媛県松山市の飲食店ものきなみ休業、もしくは営業時間を短縮した。 外食できなくなったのも苦しかったが、より死活問題だったのは、ほぼ毎晩仕事をしていた深夜…
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石井光太(作家)
5月×日 ここ最近は、新型コロナウイルス関連の取材に追われていて、昨日は病院、今日は軽症者を隔離しているホテルへ取材に行った。 病棟はもちろんだが、軽症者用のホテルも隔離は徹底している。1日3…
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宮内勝典(作家)
4月×日 新型コロナウイルスのせいで、家にひき籠もる日々がつづいている。気が滅入って、たまらなく自然の息吹にふれたくなる。 そこで、山尾三省の「びろう葉帽子の下で」(野草社 2600円+税)を…
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佐川光晴(作家)
5月×日 新型コロナウイルスの感染拡大による非常事態宣言が続いている。昨年末に細野晴臣著「とまっていた時計がまたうごきはじめた」(平凡社 1300円+税)を書店の新刊売り場で見つけたときは、まさかこん…
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泉麻人(エッセイスト)
4月×日 件のウイルスの流行下、運動不足解消の意味もこめて閑散とした路地を選んでぶらぶら歩きまわることが多い。すると、今まで渡ったことのない踏切ポイントに出くわしたりする。わがフィールドを走る井の頭線…
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青山美智子(作家)
4月×日 夜中に昨今のあれこれを考えていたら眠れなくなり、和みを求めて益田ミリさんの「僕の姉ちゃん的生活 明日は明日の甘いもの」(マガジンハウス 1200円+税)に手を伸ばす。シリーズ4作目、姉と弟の…
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内山昭一(昆虫料理研究家)
4月×日 新型コロナウイルスが猛威を振るっている。家に籠る日が多い昨今、松原始ほか著「じつは食べられるいきもの事典」(宝島社 1200円+税)は示唆に富んでいる。総ルビ付きなので子どもから大人まで楽し…
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鏑木蓮(作家)
4月×日 現在「潮WEB」に連載中の「見えない階(きざはし)」は、精神科医が探偵です。また執筆中の作品も内科医が謎を解きます。 多くの資料を求めて書店や古書店巡りをするところですが、新型コロナ…
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上野千鶴子(東京大学名誉教授 社会学者)
3月×日 林真理子さんの「我らがパラダイス」の文庫が刊行された。そこにご本人から頼まれて解説を執筆した。 セレブの入居する高級老人ホームをめぐって、富裕層の入居者と下流の職員たちが悲喜こもごも…
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坂爪真吾(一般社団法人ホワイトハンズ代表理事)
3月×日 2020年1月10日、下北沢で作家の雨宮処凛さんと拙著「性風俗シングルマザー」(集英社 880円+税)の出版記念トークイベントを行った。 トークの中で、1990年代のサブカルチャーの…
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阿部治(立教大学教授)
2月×日 台湾に出張予定であったが、コロナウィルスの影響でやむなく中止した。 この機会に「脱プラスチックへの挑戦 持続可能な地球と世界ビジネスの潮流」(堅達京子+NHKBS1スペシャル取材班著…
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正津勉(詩人)
3月×日 この1ヶ月余り、森内俊雄著「一日の光あるいは小石の影」(アーツ・アンド・クラフツ出版委員会 3800円+税)を枕許に置いている。著者、84歳。帯に「三十余年のエッセイ集成」とある。190篇ほ…
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山本幸久(作家)
2月×日 9歳の女の子がボクシングをはじめる小説を書いた。「あたしの拳が吼えるんだ」(中央公論新社 1800円+税)、絶賛発売中です。いきなり自著の宣伝で申し訳ない。この小説を書く際、頭の片隅にあった…
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梶よう子(作家)
2月×日 2月は日数が少ない上に連休があり、小説誌の締め切りが重なるという辛い状況に陥った。そのため読書を楽しむ余裕など1ミリもないのだが、就寝前には必ずなにかしら積読状態にある本を開く。さて、「創…
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樋口裕一(多摩大学名誉教授・作家)
2月×日 自宅で執筆。午後は、昨日に引き続いて、アンドリス・ネルソンス指揮、ウィーンフィルのベートーヴェン交響曲全集のCDを取り出して聴いた。第九だけ購入後すぐに聴いて、その雄弁な演奏に驚嘆したが、改…
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平川克美(作家)
2月×日 「うしろめたさの人類学」(ミシマ社)で毎日出版文化賞を受賞した松村圭一郎の最新作「これからの大学」(春秋社 1900円+税)を読む。 「学び」と「知」がテーマなので舞台は大学だが、松村…
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石原壮一郎(コラムニスト)
1月×日 ああ、またマヌケな失敗をしてしまいました。まだ1月なのに、今年に入って何回目でしょう。せっかく買っておいた手土産を忘れていったり、余計なひと言で相手を怒らせたり……。 そんな折も折、…
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家田荘子(作家・僧侶)
1月×日、年明けは毎年4日間、深夜の海に入って水行をし、災害が起こらぬよう、1日も早い復興と、人々の穏やかな生活とを祈願させて貰う。山岳行者で高野山の僧侶なので、20年間年中、深夜の海で一人行を続けて…
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新井素子(作家)
1月×日 今年は岡山でお正月。うちの夫が去年還暦を迎えたので。還暦になると、何故か同窓会ってやりだすよね。で、岡山の場合(遠いから)大体みんなが帰省しているお正月にってことになる。 ただ……私…
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茂木健一郎(作家・脳科学者)
12月×日 研究室の忘年会の前のゼミ。学生やOBたちと、最新の脳科学の論文を読む。小俣くんと話していて、最近は社会の「格差」や「平等」に興味があるというから、ちょうど読み終わった「資本主義の終わりか、…