「ファーストクラスで世界一周」たかせ藍沙著
多くの人にとってファーストクラスは、一度は味わってみたい憧れの体験。しかし、パリ往復航空券がエコノミークラスなら5万円台から手に入るのに対し、ファーストクラスは250万円、50倍と知ると、やはり庶民には一生手が出そうにもない。
著者もファーストクラスなんて夢のまた夢だと思っていたそうだ。しかし、航空アライアンスが設定する世界一周航空券は、エコノミークラスが33万5000円~に対し、ファーストクラスは100万3300円~と、その差は3倍と知り、これならば手が届くと、ずっと見たかった絶景、体験したかった冒険、味わいたかった料理、そして泊まりたかったホテル、すべてを旅程に詰め込んで旅に出たそうだ。
世界一周航空券は、訪れる大陸数や飛行距離で運賃が変わり、最大16回までフライトに搭乗できる。
まずは少しでもファーストクラスに乗っていたいと、ニューヨーク経由で南米ペルーへ。アマゾン川、マチュピチュ遺跡、ウユニ塩湖を堪能。さらに南アフリカでは象の背中に乗り、ナミブ砂漠の美しさにうっとり。中東オマーンのパラグライダーでチェックインするリゾートホテル、オーストラリアのグレートバリアリーフ、そしてインドネシアや香港を経て日本に帰国するまでの2カ月間の旅。
ロングフライト8区間をファーストクラスで、設定がない6区間はビジネスクラスを利用。それぞれの航空会社によって異なる座席やサービスの詳細も紹介する。
本書は、そのお得でありながらぜいたくな世界一周旅行の記録であるとともに、世界一周航空券の利用法や、各航空アライアンスの特典を使い尽くす旅の指南書でもある。定年記念の旅行にファーストクラスでの世界一周、意外にありかも。
(ブックマン社 2800円+税)