「競馬の終わり」杉山俊彦著
2110年、温暖化による自然災害の多発で、世界のパワーバランスが崩壊。日本はロシアの占領下におかれる。
ある日、競走馬を生産する笹田の牧場を見知らぬロシア人が訪ねてくる。北海道地区管理府トップのイリッチ弁務官だった。イリッチは、笹田が生み出したサッドソングの初仔の購入を希望。仔馬は売約済みだったが、笹田が決めた購入先とはすでに話がついているという。理由をいぶかる笹田にイリッチは、ダービーを自分の馬で勝ちたいからだという。実は、3年後にサラブレッドのサイボーグ化が施行されることになり、現1歳馬が生身で行われる最後のダービー世代になることが決まっていた。
未来の競馬を描いた第10回日本SF新人賞受賞作。
(集英社 620円+税)