「花ひいらぎの街角」吉永南央著

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 コーヒー豆と和食器の店を営む杉浦草の所に、ある日、「取扱注意」の小包が届いた。送り主は元夫・村岡透善の同人誌仲間だった田中初之輔だ。開けてみると、初之輔の短編「香良須川」に寄せられた絵画だった。透善がかつて芸術村をつくろうとしたときの仲間が描いた絵巻である。

 やはり同人誌仲間だったバクサンから電話があり、彼の所には絵巻の下巻が送られてきたという。バクサンは、初之輔がかつての本命だった戦争未亡人の容子に会いたいのではないかという。だが、容子は再婚した後、昨年亡くなった。3人で墓参りに行ったのだが、墓誌には容子の名がない……。

 半世紀前の同人誌の作品をめぐる6編の連作小説。(文藝春秋 1600円+税)


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