「ひよっこ社労士のヒナコ」水生大海著

公開日: 更新日:

 元漫画家で推理作家の著者が社会保険労務士の世界を描いたお仕事小説である。

 主人公の朝倉雛子は26歳、恋人なしの社労士。派遣社員として働いていたが、一念発起、3度の受験でついに合格。今は、新米社労士として働いていた。

 最初のお仕事は、オフィス向けの事務機器などの販売とメンテナンスをする従業員30人ほどの会社で起こったことの始末だった。

 3年前に入社し、この4月付で退社している日置真子が「たまっていた年次有給休暇があり、出勤しなかった分の給料を支払え。自己都合退社ではなく、解雇扱いにしてほしい。そうすれば失業保険がすぐもらえるから」と要求してきたのだ。事前申請をしなかったから、有休手当の支給は無理にしても、この前まで派遣だった雛子には、早く失業保険が欲しい彼女の気持ちもよく分かる。そして、迎えた解決策とは――。

 ほかに、産休育休、裁量労働制、労災、パワハラ、ブラックバイトなど6つの事案の解決に奮闘する連作短編集。(文藝春秋 1500円+税)

【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  3. 3

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 4

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  5. 5

    マイナ保険証「期限切れ」迫る1580万件…不親切な「電子証明書5年更新」で資格無効多発の恐れ

  1. 6

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  2. 7

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  3. 8

    Mrs.GREEN APPLEのアイドル化が止まらない…熱愛報道と俳優業加速で新旧ファンが対立も

  4. 9

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  5. 10

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差