島倉千代子 なお売れ続ける気迫の歌声「からたちの小径」
昨年11月に肝臓がんで死去した島倉千代子(享年75)。今月8日で死から3カ月が経つが、亡くなる3日前に自宅でレコーディングした「からたちの小径」のCDが売れ続けているという。この曲は、歌手生活60周年を記念して南こうせつ(64)が作詞・作曲を手がけたもの。昨年11月14日に営まれた葬儀で、収録した歌声が流れると、「日本コロムビア」に1000件以上の問い合わせが殺到する。急きょCD化され、オリコン週間シングルランキング(昨年12月30日付)で総合7位に初登場。初回出荷枚数は演歌では異例の5万枚を突破した。
年が明けても勢いは衰えず、最新のオリコン週間シングルランキング(10日付)でも総合29位、演歌・歌謡部門で4位をキープ。代表曲「人生いろいろ」の最高位が総合16位、演歌・歌謡部門2位だったことからも、その反響の大きさが分かる。
死してなお売れ続けているのはなぜか。芸能評論家の肥留間正明氏はこう語る。
「『からたち――』は決してうまくはないし、力のない弱い声だったけど、最後の力を振り絞ってという部分に誰しもが歌手としての気迫や意地を感じた。今、演歌は1万枚売れれば大ヒットという時代。それが初動で2.2万枚ですから、異例の事態です。この調子でいけば10万枚はいくんじゃないか。年が明けても人気が衰えないのは、追悼番組をやったり、プロデュースを手がけた南こうせつがNHKの番組で島倉とのエピソードを語ったりしているから。少し忘れかけていた人もまた思い出す。それが売り上げにも影響している」
波瀾万丈、まさに「人生いろいろ」といわれた島倉。虎は死して皮を残すが、島倉は歌を残した。