殺人鬼も茶髪チャラ男も 染谷将太に「第2の役所広司」の声
「これまでは鬱屈した陰のある役が多かったですが、今回のように今風で軽薄な役を演じたことで、演技のフットワークの軽さを見せつけました。園子温監督の作品でブレークした彼ですが、そのまま園監督の専属役者になってしまうと小さくまとまってしまう。それが、青春ものやコメディーを得意とする矢口史靖監督の作品に出ることで、オールラウンドな役者だと印象づけたのは大きい。『WOOD JOB!』はコマーシャリズムに乗った“林業バンザイ”映画ですが、そのノリに負けない説得力のある演技をしていた。作品自体が傑作だとはいえないのですが、染谷くん個人でいえば“こういう役もできるんだ”と思わせた作品。これだけの演技ができるのだから、CMやドラマに出ても『本籍は映画』という自覚を持って仕事を続けていくべき。20年、30年後には役所広司や佐藤浩市のようなあらゆるキャラクターをこなせる名優になるでしょう」(映画評論家の秋本鉄次氏)
映画に“出る側”の染谷だが、プライベートは「超」がつく映画マニア。仕事の合間を縫って映画を見まくっているという。「フィリップ・シーモア・ホフマンが大好きだった。『ブギーナイツ』でも、言葉を発していないのにたたずまいだけでゲイだと分かった。自分もそういう演技ができたらいいなと思う」とインタビューで話すなど、映画に関する見識は豊富。子役として活躍しながら、俳優ではなく製作者やスタントマンにも憧れていたという。
公開予定の映画がすでに5本決定している超売れっ子。いずれは監督デビューも期待される逸材だ。