女優・吉沢京子が感謝する故・勝新太郎からの“大人扱い”
「町娘には町娘、女郎には女郎の指の動きや身のこなし方がある。そこに注意しな」「目で芝居のできる役者にならなきゃダメだよ」「芝居ってぇのは、セリフや顔の表情だけじゃないんだ。指、肩、足、腰の動き、体全部で表現しなくちゃならねえんだ」「芸事はまず形から」……。
17年前に亡くなられた勝新太郎さんには、女優を続ける上で教えていただいたことがたくさんあるんです。
初めてお仕事をしたのは72年9月公開の「新座頭市物語 折れた杖」でした。これは座頭市シリーズの24作目にあたる勝さんの初監督作品。太地喜和子さん演じるヒロインが働く女郎屋の禿(見習)役をいただきました。
ロケは、京都府の日本海に面した丹後町間人(現・京丹後市)で行われ、私は東京や京都での仕事の合間を縫って、延べ7日ほど行ったかしら。
当時、私は17歳。それまで6作の映画出演がありましたが、全部、爽やか清純系の“青春もの”でしたので、映画での時代劇は初めてだったんです。6歳から日本舞踊を習っており基本的な所作は体で覚えていましたが、やはりお芝居となるとまったく別世界でしたね。