84歳にして大胆不敵な問題提起だが、意外にも戦争当事国の米国内では真逆に受け止めた観客も少なくなかったようで、賛否両論。マイケル・ムーアほかセレブたちの批判めいた意見に愛国世論が猛り反論、それを受けオバマ大統領のミシェル夫人が作品擁護に回るなど、いまや社会現象にまでなっている。
いずれにせよ、製作開始後に急きょ書き換えられたラストシーンも含め、その出来たるや完璧。米国の戦争政策に疑問を突き付ける本作が、間もなく発表となるオスカーを獲得できるのかどうかも見逃せないポイントだ。
(映画批評家・前田有一)