震災で公開延期になっていた…中国映画「唐山大地震」の中身
「世界侵略:ロサンゼルス決戦」(11年、米)は異星人に破壊されたLAの街が東北とダブり、延期された軍事娯楽作。エキストラにまで本物の海兵隊員を使い、大真面目に異星人戦をシミュレート。この“異星人”を天災や敵国の暗喩だと考えると、社会派の本性が浮き彫りとなる問題作だ。
「4デイズ」(10年、米)は、自作の核爆弾を仕掛けた犯人を米当局がなりふり構わず拷問するショッキングな政治スリラー。原発が爆発炎上中の国で核テロの映画など公開できるはずもないが、作品自体は大傑作。衝撃のラストは米国では上映できずにカットされてしまい、日本公開版でのみ見られる事態に。
逆に公開を前倒しされ好評を博したのが「100,000年後の安全」(09年、デンマークほか)。放射性廃棄物の処理問題に特化した絶望のドキュメンタリーだ。政府が原発再稼働に邁進する今こそ見直し、あわせて4年前の大災害とその被害を忘れぬようにしたい。
(映画批評家・前田有一)