「不良番長」内藤誠監督が語る俳優・梅宮辰夫との濃密な現場

公開日: 更新日:

 ネオン街のことはいろいろ教わりましたよ。ただ、払いはいつも辰ちゃん。社員監督とスター俳優では、稼ぎが違いますからね。

「仁義なき戦い」シリーズが始まると、辰ちゃんは山城新伍、安岡力也たちとともに京都に行ってしまい、僕は東京で新人女優を見つけて、「番格ロック」などのスケバンものを撮るようになった。

 高いギャラの辰ちゃんがちょっと遠い存在になってしまいましたけど、東映を離れて「時の娘」(80年)を撮るときも出てくれて、前作の「明日泣く」(11年)なんて「そんなギャラだったら、いらないよ」と無料出演してくれました。

 その恩返しというわけで、何年か前、釣り師でもある辰ちゃん主演で「老人と海」を撮ろうと言ったことがあるんです。いしいしんじ作品にヒントを得て、「幻の魚シーラカンスを釣る映画にしよう」と向けたら、「シーラカンスはどうするんだ」って。「CGでどうにかなる」と答えたら、「釣りだけは本物でなきゃ話にならん」ですって。

 彼は文学でいえば、私小説の人です。スターだと素顔を隠すのに、平然と丸出しで仕事している。先日、NHKで自分の一家の歴史を見たときも、心から泣いていた。会うといつもホッとするし、彼と出会え、一緒に仕事できて、本当に幸せです。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出