64、ちはやふる…1粒で二度おいしい「2部作映画」の狙い
とはいえ、一度に撮影したものをセパレート販売する2部作モノはお手軽感が否めない。製作コストは、全く別の作品を作るより安いはずなのに、収入は2倍なのだから“一粒で二度おいしい”ビジネスだ。
だからこそ、「商業的な都合を第一に考え、何でもかんでも2部作にすればいいという製作方針は好ましくない。太くしっかりとした骨格があったり、その世界観を描くのに時間を要する作品にこそ生きるスタイル」(前出の大高氏)という声が上がる。同様に前田氏も「“一粒で二度”の安直な思考であるのは否めず、今後もメーンになる手法ではない。必然性のない2部作品に対して観客の目はシビアになっていくでしょう」。
デフレ不況下で前後編合わせて3600円は安い金額ではない。映画デートなら7200円だ。映画会社には金額以上の満足感を与える作品づくりが求められている。