若かりし日の黒柳徹子を好演 満島ひかりの光る芸達者ぶり
■美貌消し黒柳徹子に“なり切り”
もともとかなりの美貌だが、前出の女優陣と違って美しさを封印。ショートカットのズラをかぶり、昭和ファッションに身を包んで黒柳になり切っている。
1話目はエキストラ役のシーンでひとりだけ目立ってしまい、スタッフに注意されても「わたくしですか? どうかなさいましたか?」と黒柳調の鼻声ですっとぼけたり、主役のスター・笠置シヅ子(中納良恵)を見て「生きてらっしゃる!」と驚いたり。
2話目の先週は渥美清(中村獅童)と共演したりと売れていくが、昭和33年の「紅白歌合戦」の司会では「曲目は、アレです……アレです……」とド忘れしたり。満島は役に“化けて”いて、なかなかのコメディエンヌぶり。素の自分に近い恋愛ものより技量が必要な役を達者にこなしている。
売れている女優はみんな、コメディーもできる幅広さを持っているのだから、バカのひとつ覚えの婚活ドラマばかりやらせず、いろんなことをさせたほうが魅力が出る。満島のように実在の人物を演じさせるのも手だ。
ドラマ自体も当時の町並みをセットで完璧に再現していて面白い。放送時間は短いが、昭和のスターも活躍するから懐古感満載で中高年は楽しめるだろう。満島ひかりには他の女優と違う化け方に期待。女優は脚本によって光るのだ。
(作家・松野大介)