立川談慶さんが語る落語と酒 「登場人物はみんな下戸」
ワコールの営業マンから立川談志の門を叩いて26年目。立川談慶さん(51)が本格的に酒と付き合い出したのは入門後だった。
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「酒が人間をダメにするんじゃねえんだ。もともと人間っていうのはダメなもんだと教えてくれるのが酒なんだ」
言い得て妙でしょ? 師匠・談志の名言のひとつです。落語の登場人物っていうとウワバミってのはあまりいません。酔っぱらってグデグデになる人が多いですねえ。端的なのが「親子酒」。ある商家の酒好きの父親が酒癖の悪い息子をいさめるため「ともに禁酒をしよう」と持ちかけるお話。いざ禁酒したものの、我慢できず父親はヘベレケになるまで飲んでしまう。そこへ、取引先の旦那と飲んでベロベロになった息子が帰ってきた。それに怒った父親が女房に向かって「婆さん、こいつの顔はさっきからいくつにも見える。こんな化け物に身代は渡せない」と。それを聞いた息子は「俺だってこんなぐるぐる回る家は要りません」。とまあ、こんなオチですが、親子揃って酒に弱いから笑える話です。