巨匠・大林宣彦監督 余命6カ月末期がんから奇跡回復の源
映画「時をかける少女」などで知られる日本映画の巨匠、大林宣彦監督(79)がステージ4の肺がんから、奇跡的回復を成し遂げた。昨年8月にがんが見つかり、医師から「余命6カ月」と宣告されてちょうど1年、このほどTBS系バラエティー「爆報!THEフライデー」に出演した監督は「いろんな薬が効いて、いろんな奇跡が起きています」とし、「今や余命は未定。あと30年は映画を撮りますよ」と笑顔で宣言したのだ。
どんな薬が効いたのか、具体的に明かしてはいないが、医療関係者によると最近はさまざまなタイプの抗がん剤が登場して治療に役立ち、それらをうまく使えば5年生存率が延びると期待されているという。大林監督には「がん細胞の特異な性質を分子レベルでとらえて、そこに効率よく作用するようにつくられた分子標的薬が使われたのではないか」という説もあるが、「薬と負けず劣らずの効果があったんじゃないか」ともっぱらなのが、その前向きでポジティブな姿勢だ。
突然の末期がん宣告にも「うれしかった」と深刻になることはなく、「僕たち表現者にとって、マイナスなものなど何もない。生きてるってことは傷を負うことだから、傷を負うことで人の財産となる」と独自の表現で、不治とされた病気を受け入れたそうだ。今年6月には、国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル」の都内での授賞式に杖をついて出席、30分ものスピーチを行い、若き映画人たちにエールを送った。その言葉も前向きで力強く、大きな拍手が響き渡っていた。