「小林多喜二」特別高等警察に虐殺されたプロレタリア作家
多喜二の死体は右手の人さし指を折られ、太ももは赤黒く変色して2倍に腫れていた。さらに陰茎と睾丸は異常なほど腫れ上がり、肛門と尿道から出血。関係者は大学病院に死体の解剖を依頼したが、医師は相手が多喜二と知り、官憲を忖度して拒絶した。劇中の太ももをキリで刺され、性器を蹴り潰される場面は目を覆いたくなる。
共産党のHPによると、多喜二の虐殺に直接手を下したのは特高課長の毛利基と警部の中川成夫、山県為三だった。戦後、毛利は東久邇内閣から「功績顕著」として特別表彰を受け、中川は東映の取締役興行部長から東京・北区教育委員長に就任。山県は「スエヒロ」を開業したという。3人とも恵まれた人生を送ったわけだ。
昨年成立した共謀罪は「現代の治安維持法」と呼ばれる。本作を見るとその危険性は明白だ。放っておくと公安警察が特高化し、安倍政権に反対する人が金玉を蹴り潰される日がくるかもしれない。
(森田健司)